明日、2015年7月25日から、東京の目黒シネマで上映が始まります。
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『6才のボクが、大人になるまで。』(原題:BOYHOOD/ 2014年米)
リチャード・リンクレイター監督。
この人の撮る作品は、どうしていつもこんなに温かいんだろう。
『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離』『ビフォア・サンセット』『ビフォア・ミッドナイト』...... ビフォア・シリーズともいわれるこの 3作
で、リンクレイター監督は、イーサン・ホークとジュリー・デルピーが演じるカップルの出会いとその後をさりげなく描き、多くの人の心をつかんだ。
そして、『6才のボクが、大人になるまで。』
主人公のメイソン(エラー・コルトレーン)が少年から大人に成長していくまでの過程を、リンクレイター監督は、実際に 12年の歳月をかけて丹念に撮影した。つまり、演じる役者たちも登場人物と同じように年をとっていくというもの。
この斬新な企画を引き受け、支援を行ったのは、IFCフィルムズ。そし て、1年に1回、3-4日にわたる撮影を行い、それを12年続けるという異例 のスケジュールを承知し、演じてくれる役者たちが集まった。脚本は少し
ずつ書き上げられ、撮影、編集が完全に終わって、はじめて作品の全体像が明らかになるという試みが新鮮だ。
リンクレイター監督(右)と、エラー・コルトレーン(左)
映画の登場人物、誰もがそれぞれの人生、それぞれの夢を持って生きている。そんな撮り方ができるのは、リンクレイター監督だからなのだろう。
例えばメイソンの父(イーサン・ホーク)。アーティストの夢を追って
いた彼がどのようにメイソンと関わり、どんな人生を送っていくのだろうか。
完璧であろうとはせず、いい父親になろうと少しずつ努力する、決して無理をせずに。そんなふうにみえるシンプルさがかっこいい。
(c)2014
boyhood inc./ifc productions i, L.L.c. aLL rights reserved.
例えば、メイソンの高校教師。教師の発する言葉、それがたったひとことであっても、多感な少年少女たちに大きな影響を及ぼすこんな教師が
もっとこどもたちの身近にいてほしいと思う。
そして、水道の配管工として登場したアーネスト。この青年が終盤でどのような成長を遂げるのか...... わずかなシーンに登場するだけだけれ ど、このアーネストこそ、もうひとりの主役なんじゃないだろうかと思えるほど、魅力に溢れている。21世紀の日本で「アメリカン・ドリーム」と いう言葉を聞く機会は激減している。でも、ちゃんとその精神が生き続け
ていることをリンクレイター監督に教えてもらったような、そんな爽やかな気分に浸れる。アーネストを励ましたメイソンの母・オリヴィア(パトリシア・アークエット)にも拍手。
(c)2014
boyhood inc./ifc productions i, L.L.c. aLL rights reserved.
<公式サイト>
『6才のボクが、大人になるまで。』
http://6sainoboku.jp
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