2015年11月20日金曜日

『イミテーション・ゲーム / エニグマと天才数学者の秘密』(The Imitation Game) その2

赤、黄色、さまざまな色の葉が野や町を彩っています。
日本の紅葉ほど多様性に富んだ色彩は、世界的にも類をみないと言われています。
色づく木々の葉をめでながら、「多様性」のすばらしさを考えていきたいと思います。

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『イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密』その2
(原題:The Imitation Game/2014/米英合作)
〜第87回アカデミー賞脚色賞受賞〜

  この映画で主人公・アラン・チューリングを演じたベネディクト・カンバーバッチは、彼の2人の姪と話したときのことをこう語っている。「まだ幼かった彼女たちにとって、アラン・チューリングは忘れられない存在だったそうだ。自分たちを一人前の人間として接してくれていたから」と。まだ、こどもが大人の前で自由に口をきくことが許されなかった時代でも、チューリングは彼女たちひとりひとりの人格を尊重して接し、彼女たちの声に耳を傾けたのだろう。「彼は決めつけることをしない人だった」。
 (※参考文献:ビッグイシュー日本版257号)

 映画の中でも、世間の偏見にしばられず、その人の本質を大切にする彼の姿が描かれる。20世紀前半の英国も、当時の日本同様、女性の立場は低く「女は結婚してこどもを産むもの」という意識が強かった。そんな時代の中、ジョーン・クラーク(キーラ・ナイトレイ)のずばぬけた数学的才能をいちはやく認め、彼女の力になろうとするアラン・チューリングの姿は純粋で、気高い。

(C) 2014 BBP IMITATION, LLC

 チューリングを気嫌いし、露骨に敵意をむき出しにするマシュー・グード(ヒュー・アレグザンダー)を、自分が人事権を握った後もチームから外さなかったところもまた、心に残る。
このマシュー・グードの心の動きが印象的だ。彼が映画の後半でどのような行動をとったのか……彼の存在が、作品に厚みを加え、青春ドラマのようなさわやかさを残してくれる。
 
 この映画で、第87回アカデミー賞脚色賞を受賞したグレアム・ムーアさんは、受賞のスピーチでこう語っている。
「ぼくは、十代の頃、自殺未遂を体験しました。そして今、ここに立っています」
そして、今の生活になじめないと思っている人も大丈夫「君の居場所はここにあるから」と結んだ。同性愛者であり、アスペルガー症候群でもあったのではないかと言われるアラン・チューリングの半生。それを見事な脚本に仕上げることができた理由が、少しわかったような気がするスピーチだった。

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「多様性」が、パリの同時多発テロの脅威に負けませんよう。

 
<本ブログ内リンク>
『イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密』その1
http://filmsandmusiconmymind.blogspot.jp/2015/11/imitation-game.html


<公式サイト>

『イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密』

http://imitationgame.gaga.ne.jp
 
出演:ベネディクト・カンバーバッチ「SHERLOCK

   『スター・トレック イントゥ・ダークネス』 

キーラ・ナイトレイ『アンナ・カレーニナ』

マシュー・グード『イノセント・ガーデン』

マーク・ストロング『裏切りのサーカス』

監督:モルテン・ティルドゥム  

脚本:グラハム・ムーア  

原作:アンドリュー・ホッジス「Alan Turing : The Enigma


配給:ギャガ 

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